北海道・道東旅行記 2002/8/21〜25

釧路、阿寒、網走、知床などの北海道は、道東旅行に出かけたときの記録です。文中のリンクはデジカメで撮った写真なので、ご覧になった後はブラウザの「バック」または「戻る」ボタンで戻ってください。毎日の行った所のリンクは、関連するサイトへのリンクです。できるだけ個人運営ではなく自治体などの団体のサイトを選んでいるので、これから道東旅行を計画される方に参考になると思います。では、4泊5日の道東旅行に、どうぞお付き合いください。

事前準備
航空各社も客の取りあいでいろいろなサービスを提供しているのだが、今回旅行で利用したのは、JASのバースデー割引。誕生日から2週間以内だったら、国内どこへでも片道1万円ぽっきりというサービス。しかも同伴者1名にもこのサービスが適用されるという。ちょうどHIROKOが8月に誕生日なので、われわれ夫婦二人がこのサービスを使い、子供たちは正規の料金で行くことにした。行き先は夏でもカラっとして涼しい北海道。小樽・札幌は以前行ったことがあるので、今回は道東の自然を満喫することを目標にした。

目的地の十勝おびひろ空港へは、関西空港を8:50発のフライト。逆算すると、5時起きして出発し、JR最寄り駅を6:19発の電車に乗らないといけない。新婚旅行に行くときには始発でも間に合わず、前日の夜10時になってからあわてて梅田のホテルに泊まることにしたが、なんだかそれに近い気分。前日は、8時から子供たちを寝かしつけて、早朝の起床に備えた。

2002/8/21(水)
行った所:十勝おびひろ空港、花畑牧場(馬のウェスタンショー、犬のふれあいコーナー)、幸福駅・愛国駅、笹井ホテル

予定どおり一家そろって5時起床。パンとコーヒーで簡単に食事を済ませて、身づくろいをして駅に向かって出発。京橋から関空快速に乗って、そのまま空港へ一直線。と思っていたら、京橋の駅でトイレにいったすきにHIROKOとはぐれてしまった。こっちは子供二人をつれたままホーム、HIROKOは発車直前の関空快速に乗ったらしい。関空快速は環状線の内回りで大阪を通って行くので、外回りの環状線で天王寺に先回りして、関空快速に合流することにした。こういうときにはお互いが携帯電話を持っていると具合が良い。天王寺のホームでうまく関空快速を待ち受けて、どうにか合流。あとは関空まで一本だ。

関空到着後、そうそうにチェックイン。最近、空港ではチェックが厳しくなっているようで、ゲート通過で私だけが引っかかった。財布まで出して再度ゲート通過して、ボディーチェックまで受ける始末。どうやらベルトのバックルが金属製で、これがひっかかったようだ。でも帰りの釧路空港ではなんともなかったのは何故なんだろう?。

さて、今日の飛行機は、JAS721便、機体はマグダネル・ダグラスのMD90。左2列、右3列で、ちょうど新幹線の車内のような感じ。2列側の9番ABと10番ABの前後に4人で座る。離陸がちょっと遅れたもののフライトは順調。関西空港の上空でグルっと一回り輪をかいて、名古屋〜新潟〜岩手の上空を通って、帯広空港へ向かうコース。2時間弱の飛行時間だ。座席の天井には3列にひとつぐらいの割で小型の液晶モニターがあって、日本地図の上に、現在位置や飛行コースが出たり、高度・速度・外気温などの情報が出る。8200メートルぐらいの上空を巡航するのだが、このあたりの高度になると外の気温はマイナス25度、時速は900kmぐらいで飛ぶ。

ほぼ予定通りの11:00前に帯広空港到着。気温17度で、空模様はどんよりとしている。大阪のようにTシャツ一枚でというわけにはいかず、長袖のシャツを着ないと寒い。風が強くなったら、ウィンドブレーカも羽織りたいところだ。今年の北海道は冷夏で、滞在中にも10月並みの気温という日があった。週間の天気予報をみても、台風崩れの低気圧のせいで、すっきり晴れる日は一日か二日ぐらいらしい。手荷物を受け取って、マツダのカウンターでレンタカーの手続きをしたらほぼ正午。空港のレストランで昼ご飯にする。子供達はカレーライス、HIROKOと私は北海道名物っぽい豚丼。甘辛くいためた豚肉の照り焼きと紅しょうがの乗った丼だ。これを「とんどん」か「ぶたどん」か、どう読むのかと思っていたが、「ぶたどん」が正解らしい。かなり濃い味付けだ。食事中に飛んできたお仕事メールにも返信して、いざ出発。

空港内にレンタカー専用駐車場があるとかで、HIROKOがインターネットで申し込んでおいたキャロルをそこで探す。家で運転しているMOVEとおなじ軽だが、車内がちょっと狭いかな。その反面、ダッシュボードにカーナビが付いているのには感心。最近のレンタカーには当たり前なのかもしれないが、これは使いようでずいぶん役に立った。次男用のジュニアシートもちゃんと付いている。他社と比べてずいぶんと安いので、「安かろう、悪かろう」じゃないかと心配していたのだが上出来だ。ただしこのキャロル、上り坂になるとてんで走らず、HIROKOが随分とアクセルをふみこんでも40kmぐらいがせいぜい。

今日の第一目的地は「花畑牧場」。タレントの田中義剛さんが経営する観光牧場だ。ここに着くまでにも、道の両側には、たくさんの牧場がある。観光牧場ではなくて、酪農を営む牧場なんだが、どこも道路沿いにきれいな看板を出していて、○○牧場、△△ファームなどと、飾り文字でペイントされている。単なる表札の役割以上にきれいにしてあり、まるで通りがかる観光客に呼びかけているような感じがする。

たどりついた花畑牧場内は、花で飾られ、トイレもきれい。駐車スペースも広く取られていて、設備はなかなか良い。駐車場横の建物でチケットを買って入場するのだが、ショーを見せる場所はチケット売り場からだいぶ離れていて、敷地に特別の仕切りもないし、入場をチェックする人もいないおおらかさ。着いたときには、ちょうどウェスタンスタイルの馬のショーをやっていて、さしわたし10数メートルの狭い馬場だけど、目の前を走る馬の迫力にはびっくり。ショーの内容自体は、調教する立場からは「どうだ、よく仕込んでいるだろう」というものなんだろうが、素人目に見る分には何がスゴいのか分からない。それでも、ホンモノの馬を目の当たりにしたり、触ったりするのは貴重な体験なので、それはそれなりに良かったと思う。花畑牧場で子供達に一番好評だったのは、犬とのふれあいコーナー。よく遊園地とかにあるヤツだけど、犬達がおとなしく、子供らが少々触っても、うなったり吠えたりせずに、よく相手をしてくれている。普段は近所の犬を怖がって回り道をする啓史ですら、大きな黒い犬にさわって喜んでいた。逆に聡太の方が怖がって、囲いの隅のほうに逃げ出す始末。この他には、来場者参加でのバターつくり競争、ミルクのみ競争フリスビーの的当てなどのゲーム。牧場で訓練した犬のショーでは、100メートルも先に投げたフリスビーを走って行ってキャッチする脚力と、風を読む勘の良さに驚いた。ポニーや、ヤギもいて、自由に触れたりも出来る。牧場内を周る馬車、チーズの販売施設など、ここだけでもけっこう時間を書けて楽しめる施設だった。

このあとは宿泊地・十勝川温泉に向かうのだが、その途中で幸福駅と愛国駅の旧駅舎に立ち寄る。「愛の国から幸福へ」で、この駅間の切符を買うのが流行ったのは、もう四半世紀も前のことか。幸福駅のほうは、みやげ物屋があったり、愛国〜幸福の切符や記念切手を売っていたりという、観光地らしいスタイルになっている。保存されている駅舎自体は、いっぱいに貼られた来訪者の名刺に埋もれているよう。掘っ立て小屋ていどという感じの、実に小さな建物だ。片や愛国駅のほうは、みやげ物屋のようなものは何もなく、当時の鉄道線の記録を残す記念館として残されている。

愛国駅を出るころには、日も傾き加減になってきた。今夜の宿・十勝川温泉の笹井ホテルを目指す。今回の旅行では、ここ十勝川温泉に一泊、あとは川湯温泉に三泊の、計四泊五日の旅程だ。笹井ホテルはロビーも広く、熊の剥製がお出迎えしてくれる。部屋は八畳の和室で、ゆったりとしたつくり。夕食は部屋で食べられるし、メニューもなかなか豪華だ。啓史と聡太にとっては初めての温泉・露天風呂体験で、広いお風呂もさることながら、屋外にある露天風呂が楽しかったそうだ。夜は冷房なしでも、窓からの風がずいぶんと涼しく、さすがに北海道。南北に長い日本の気候を実感した。


2002/8/22(木)
行った所:足寄動物化石博物館オンネトー、双湖台、阿寒湖摩周湖川湯エコミュージアムセンター、自然探索、御薗ホテル

明けて8月22日、朝食はバイキング形式で、和食・洋食とも取り揃えている。かんたんな肉じゃがなんかが、産地とあってかイモがうまい。これでジャガイモをふかしてジャガバタでも作ってくれれば、最高のおもてなしなんだが手間かかるのかな。ここには一泊だけなので、食後早々に出発準備。チェックアウトして、荷物を車につんで出発する。今日も天気予報によると気温18度ぐらい、曇りとの予想だ。途中、足寄の動物化石博物館、阿寒国立公園、摩周湖あたりをまわって、次の宿泊地の川湯温泉に向かう。

今日の最初の行き先は、足寄動物化石博物館。足寄近辺は化石の発掘が盛んで、鯨の先祖になるような化石が多数出ているそうな。ウィークデイとあってか、駐車場には車が一台停まっているだけ。授業の一環で来たとおぼしき中学生の団体が、案内の方の説明を聞きながら見ているだけで、他には一般客は我々だけだ。今生きている生物でいうと、カバぐらいの大きさの化石が、ほぼ完全な形で何体も展示されている。鯨の先祖だという犬ぐらいの大きさの陸上生物の復元模型や、、イルカの骨格標本もあって、けっこう楽しめる。時間があれば、三葉虫やらオウム貝の化石から取った型を使って、石膏模型を作ることも出来る。掘りだしたままで、これから標本に形作って行く作業過程の場も見学できて、オープンな施設だ。

本日二ヶ所目の目的地は阿寒国立公園。まずはオンネトーという湖を見に行く。神秘の湖というふれこみで、細い道路を走ってゆくのだが、たどり着くのが大変なだけに、自然がそのままに残ってる。小雨が降ってどんよりとした天気で、風も強くて寒い。もっと奥には、温泉が滝になって流れ落ちるところもあるそうだが、1キロぐらい歩くようだし、子連れで雨も降っているのでこれは断念。長袖のシャツの上にコートを重ねてから車を降り、湖畔に行く。晴れた日に来れば、雄阿寒岳・雌阿寒岳がオンネトーの湖面に映って、さぞかしきれいなんだろう。写真を何枚か撮ったところで、車の中に戻り、オンネトーから阿寒湖に向かう。途中の道路は両側が深い森で、針葉樹・広葉樹が入り混じっている。バイクで走る人も多く、ツーリングを楽しみたいライダー達にはもってこいの所だ。

阿寒湖にたどりついたところで、そろそろお昼。ラーメン屋に入って、子供達はカレーライス、大人は海の幸の乗ったラーメンを食べる。夫婦二人だけだったら、郷土料理の店にでも入るところだが、子供の食べられるメニュー優先で店を決めてしまうので、こと食に関しては今回の旅行はちょいとさみしい。食後に阿寒湖を見に行ったが、ここもすごい風。湖面が台風の海のようだ。ビュービューと吹く風に、飛ばされそうになりながら阿寒湖をバックに写真を撮るが、そうそうにひきあげてきて土産物屋に避難。この風のせいか、すでにシャッターを閉めている店もある。

阿寒湖の次は摩周湖。途中に双湖台という展望台に立ち寄る。ペンケトーとパンケトーという二つの湖が見えるので「双湖」なんだそうだが、これまた強風のうえに高台なので、えらい風でかつ寒い。湖が二つ見えるというウリ文句なのだが、手前のパンケトーは見えるものの、奥のペンケトーはほとんど見えない。この他に「双岳台」といって、雄阿寒岳と雌阿寒岳が見える展望台があるのだが、霧の深い道を走っているうちに見落としてしまった。まぁ、見落としてなかったとしても、この霧ではとうてい山を見るなんてことは出来なかったろう。この季節特有なのか、たまたま天候がそうなのかわからないが、ちょっと山の道を上がるとすぐに霧に包まれる。対向車線の霧の中から突然ヘッドライトが浮かびだしてくるし、くだりの道はけっこうカーブが多い。

そうこうするうちに摩周湖に到着。霧で有名な摩周湖は、湖がすっきりときれいに見えるチャンスにはなかなか恵まれないことで有名。今回は、晴れわたるというわけにはいかなかったものの、湖面とそれをかこむ外輪山を見ることが出来たのはついていた。ここでも強風のせいで湖面がかなり波立っている。双湖台は閑散としていたが、摩周湖はさすがに観光名所だけあって大型バスも何台か停まっているし、観光客も大勢いる。湖をバックに写真を撮って、みやげ物屋を物色しつつちょっと休憩。ここで意外だったのは、ハングル語がかなり飛び交っていること。店内の案内板にも日本語、英語と並んで併記されている。九州ならいざ知らず、北海道でハングルとは思わぬ取り合わせだった。店内には、摩周湖の生い立ちや自然を説明するコーナーがあって、噴火から摩周湖の外輪山が出来上がるまでのビデオを流していた。湖から流れ出る川ばかりなのに、水位が全く変わらないというのが不思議のひとつなんだそうな。

さて今夜から三泊は川湯温泉。摩周湖から霧の中の道をゆっくりと下って、宿泊地の御薗ホテルに向かう。ここも老舗の温泉で、硫黄の匂いが立ちこめた町だ。ホテルにチェックインするにはまだ時間があるので、川湯エコミュージアムセンターというところに寄る。川湯温泉の自然探索基地のようなこの施設は、利用無料でこの地域一帯の自然の情報がいっぱいだ。センターの裏にはカラマツの林があり、ちょうど東京から来たご家族がセンターの方の案内で、30分コースの自然探索路案内に出るというので、いっしょについていった。クマゲラが突っついてウロを掘ったカラマツの木を見たり、野イチゴを摘んだり、エゾシカが樹皮を剥ぎとって食べた跡を見たり、いろいろと説明を聞きながら林の中を散策した。もっと本格的な探索コースも日曜や土曜に企画されている。また毎朝、ショートハイキングも催されていて、つつじの咲き乱れる草原を通って、硫黄山までの往復コースになっているそうだ。ただ出発が朝6:00とかなので、明日早起きが出来て、天気が良ければ参加しようかと思う。この他には、松ぼっくりや、木の枝や、木の実などを自由に使って、工作をするコーナーや、木製のパズルのコーナー、周辺で鳴き声を聞ける鳥達の模型など、川湯の自然を楽しむにはもってこいの施設。こういうところで自然相手に暮らすのも良いなぁと思う。

さて、そうこうするうちに夕闇の時間、御薗ホテルにチェックインする。十勝川温泉が透明な「美人の湯」だったのに対し、ここは硫黄の匂いが強く、いかにも火山の近くの温泉という雰囲気だ。部屋は八畳和室、予約は大人二人に子供一人なので聡太の分は無いのだが、布団も浴衣も四人分を準備してくれて、親切にもてなしてくれた。食事は、朝夕ともに食堂で食べるのだが、特に夕食は子供用のも含めてボリュームがあり、全部食べるとお腹がポンポン。これで随分と体重が増えてしまった。移動が車ばかりなのでそれもあるかな。食後に、硫黄の匂いふんぷんたる温泉に入る。硫黄分が強いので、水道の蛇口がすぐに腐ってしまったり、石鹸が泡立たなかったりするので、蛇口やシャワーには温泉ではなく真水を引いているのだそうな。浴槽にも硫黄の成分がこびりついていて、温泉に来たなぁという感じがする。浴室内には飲用の温泉もあるのだが、口に含むと渋いというか、酸っぱいというか、温泉らしい気がするけど飲むのはちょっとなぁ、という気がする。啓史といっしょに入ったのだが、大人用の浴槽は湯が熱くて入れず。子供用というぬるいのもあるのだが、小さいし温泉に来た気分がしないので、もっぱら露天風呂に入っていた。


2002/8/23(金)
行った所:硫黄山リリーパーク知床五湖オシンコシンの滝、足湯

四泊五日の旅行のうち、カラッと晴れた青空だったのはこの一日だけ。案の定、ハイキングの出発時間には起きられず、これは見送り。今日は知床半島方面に行くことにする。まずはホテルの近くの硫黄山。水蒸気がモクモクと立ち昇り、硫黄のにおいがそこらじゅうに立ち込めている。噴出した硫黄が固まって、黄色の山になっているあたりに行くと、鼻が曲がりそうになる。早々に引き上げていった子供達を後目に、硫黄見物。蒸気でゆでた卵を売っている。温泉卵の硫黄臭いバージョンだ。「1個100円、5個なら400円」とハンドマイクで喧伝するおじさんがいるのだが、ただのゆで卵だし、温泉卵ならいざ知らず、硫黄臭い卵とあって、買うのは遠慮しておく。

入り口近くの建物に入ってみると、ここの硫黄を掘って財を成した、安田さんの話が紹介されている。要は安田財閥の発祥の地ということらしい。地面の中を掘らなくても、地表に硫黄が現れているので露天掘りでどんどん掘れたのだそうな。簡単に掘れるところを掘り尽くして、資産をためこんだところで撤退したそうで、絵に描いたような成金物語だと思う。まぁ、それだけ儲けたお金で鉄道までひいてしまったのだから、地元の活性化にもそれなりに貢献したのかな。

今日のメインの目的地は知床だが、途中でリリーパークというところに立ち寄る。実はここにはあまり期待していなくて、知床まで一気に行ってしまうには、ちょっと距離がありすぎ、途中の休憩場所と思って寄った程度。ところが来てみると、何万本ものユリの花が一面に咲いていて実にきれい。一口にユリといっても、咲く時期が少しずつ違うようで、満開に咲いているもの、散りかけのもの、蕾の固いものなどいろいろだ。世界各国の代表的なユリも咲いていて、花が好きな人だったら、さぞかし見応えがあることだろう。園内はかなり起伏があって、電動のカートも運転されているくらいだが、登り降りの途中で聡太は座り込んでしまう始末。ちょっと歩くと疲れたを連発するのは、もう少し何とかならないもんだろうか。ともあれリリーパークでの休憩を終えて、知床へ向かう。

北海道の道路は、内地と違ってずいぶんとまっすぐにひかれているのが多いが、なかでも知床へ向かう334号線は途中20キロ近く、ほんと〜〜〜にまっすぐで、多少のアップダウンはあるものの、海別岳を正面に、斜里岳を右手に見ながら、延々とまっすぐな道が続く。ここに限らず北海道に道路は、市街地を除くと信号がほとんど無いから、当然のように地元の車はビュンビュン飛ばしてゆき、高速道路でもないのに80キロ以上で追い抜いて行くのが後を絶たない。こんな道なので、道路工事があるところでは、黄色地に赤い文字で「徐行」と書かれた看板や旗を振るおじさんが、工事現場の近くに立っている。これを見るとみんな慌ててスピードを落とすのだが、過ぎてしまえばまた高速並みに走る、走る。バイクもそうだが、車で走ることが好きな人には、北海道というのは魅力的だろうな。

知床半島の付け根あたりで昼食。郷土料理店っぽい食堂に入ったのだが、我々の他に客も無く、閑散としている。まぁ夏休みは外れているので、ひと気がないのも分かるが、厨房も人手を省いているのか、料理が出てくるまでずいぶんと待たされた。子供達は例によってカレーライス、大人二人は海鮮のいろいろ載った定食にする。ホタテ貝だの、鮭だの、トロだの、ホッキ貝だのと、盛りだくさんで食べきれないくらいのボリュームがあった。

知床五湖に到着。ここも観光地とあって、けっこうな人手だ。知床半島にある五つの湖を散策するコースがあるのだが、このあたりはヒグマの出没地域でもあり、今は三湖から五湖は熊出没のため立ち入り禁止。歩いていけるのは、一湖と二湖のふたつということだ。北海道のみやげ物店でよく「熊出没注意」のロゴを使った、Tシャツだの、灰皿だのを売っているが、なるほど冗談抜きで、熊出没注意なんだ。笹の中に拓かれた探索路を歩いてゆく。湿地帯なので、湖の周囲の道は、まくらぎのような角材を使った通り道が作られている。一湖と二湖を周る道は2キロぐらい。天気も良いし、散策にはもってこいだ。一湖は広く開けた湖で、逆に二湖は林の中から湖を覗く感じ。景色をゆっくり見物しながら歩くところなんだが、啓史がトイレに行きたがったので、先を急ぐ。駐車場のトイレに戻って用を足すまで、一生懸命歩いた。聡太もそうだが、どうしてもう少し余裕をもってトイレにいっておけないのかと、いつも思う。

知床からの帰り道には、いくつか名所になっている滝がある。今回立ち寄ったのは「オシンコシンの滝」。トンネルをくぐり抜けたすぐのところに看板と駐車場があって、あわててHIROKOが車を停める。二条の滝の流れがあるというので、小さな流れが二筋チョロチョロと流れているのかと思っていたら、予想外に大きな滝が水しぶきを散らして、流れ落ちている。滝の横を登る階段にも、しぶきが散っている。写真を撮ろうとする観光客がごった返す中で、なんとか滝を前に子供達の写真を撮る。帽子をかぶっていたので顔がイマイチ良く写っていなかったのが残念だったけど、流れ落ちる滝をバックに良い写真が撮れた。

ホテルへ帰った後は、夕食まで時間があるのでちょっと周囲の散策。ホテルの近くの河原に、川湯温泉の昔の源泉が沸いているそうで、そこを見物に行く。昔使われていた木製の樋が残っていて、今でも湯が流れ出ている。手で触ってみるとけっこう熱く、川の中を流れていくところは、温泉の成分のせいか、川底が緑青のような色に染まっている。近くには「足湯」といって、河原に小屋を作って足だけを温泉に浸けられるような設備がある。子供達は興味がないのか、二人して道路を通る車を数えて遊んでいるので、HIROKOと二人で、足だけの温泉を堪能。足だけしか入っていないのに、そこそこ身体が温まる。あとはみやげ物屋をひやかしてホテルに戻る。今日も露天風呂に入って就寝。


2002/8/24(土)
行った所:オホーツク水族館能取岬サンゴ草群生地博物館・網走監獄オホーツク流氷館

今日は網走方面へ向かう。目的地はオホーツク水族館と網走監獄博物館のふたつ。天気が悪く、雨もしょぼしょぼ降っているのでインドアが中心だ。まずは、オホーツク水族館に向かう。CMで有名になった、流氷の海の天使「クリオネ」を飼育しているところ。小さな遊園地が付いた水族館で、屋外にアシカ、ペンギン、トドの水槽もある。アシカには餌やりも出来て、伊勢志摩の水族館や、天保山の海遊館ほど大きくはないが、身近に触れ合えるという点では、ここの方が楽しいかもしれない。

入館してすぐのところに、まずクリオネの水槽がある。小さな水槽の中で、ひらひらと羽ばたいているのを、ガラスに額を当てるように近寄って見た。思っていた通りに小さい生き物だが、観客があまりいないのでゆっくり見ることが出来た。はばたくように泳ぐ姿は、なるほど流氷の天使だ。クリオネの隣の水槽では「ふうせんうお」の赤ちゃんがいる。あんまり小さくて最初は何がいるのか分からなかったが、よくよく見ると豆粒のような小さなフグの赤ちゃんが、いっちょうまえにまん丸にふくれて泳いでいた。なかなか愛嬌があってかわいい。これ以外にも、北の海の生物達が水槽に泳いでいるのだが、ニシン、ホッケ、ホヤなどなど、北海道の食材のオンパレードのようで、なんだかとても美味しそう。順路最後のところにはウーパールーパーがいて、そ〜いえば昔はけっこう人気者になったことがあったな、と思いだした。いったん館外に出てから、聡太がアシカに餌をやった。バケツにいわしが4、5匹入っていて100円とか。志摩の水族館あたりでやると、小さいのが2匹ぐらいしかないが、ここのは餌も大盛。考えてみれば、目の前の漁港で餌が調達できるのだから、当然といえば当然か。晩ご飯のおかずに買って帰りたい気分だ。アシカが餌を催促して鳴いたり、頭を上下したりするのは、なんだかセンベイをねだる奈良公園の鹿を見ているようだ。残念ながら、この水族館は2002/8/31をもって閉館したとのこと、我々は閉館ぎりぎりに間に合って、クリオネにも出会えてラッキーだったようだ。

水族館の次は野取岬に行く。雨にはならないものの、ここも強風。海に突き出した岬の上は、草っ原が広がってて眺めも良く、晴れた日に弁当でも持ってきて走り回るにはもってこいだろう。押し寄せる流氷を眺めるには格好のビューポイントらしい。いかんせん今日は風が強すぎたし、雨もパラパラしてきたので、岬の先端まで行って灯台の前で写真を撮って早々に引き上げる。能取岬の西にある能取湖の回りには、サンゴ草という赤い草の群生地があり、次はここに向かう。湖をとりまく道を走っていると、湖岸の所々にサンゴ草が赤っぽく見える。サンゴ草は、草といっても実はスギナのような植物で、にぶい赤色をして背丈は10センチぐらい。湖畔の湿地帯に生えている。葉っぱのようなものがなく、赤いサンゴの枝みたいなので、サンゴ草というらしい。塩分を含んだ湿地を好むとのことなので、汽水湖の能取湖周辺には適しているのだろう。これが群生している姿は、エンジ色のじゅうたんを敷き詰めたようにも見える。花が赤い植物はいくらでもあるが、葉というか茎が赤いのでちょっと珍しいかなと思わないでもない。

昼どきなので、網走監獄に行く途中、網走市内で食事できる場所を探して、けっきょくハンバーグのチェーン店に入る。ウチの近所にもあるダイエー系列の店で、旅先でそんなところに入らなくてもというもんだが、子供の食べられるメニューを考えると、ある意味ありがたい存在だ。食事後は網走監獄。といっても、ホンモノの監獄自体が見られるわけじゃなくて、別のところに博物館として移築して保存されているのが見学できる。もともと監獄だったところは、近くに立ち入ることが出来ず、遠くから赤いレンガの壁がちらっと見えるだけ。周辺を行ったり来たりしたのだが、そばに行けるところは見つけられなかった。

博物館は、建物の中に監獄に関する資料が収納されているのではなく、敷地内に移築された建物を順に歩いて周っていく。折り悪しく、天気が崩れてくるところだったので、博物館で貸し出している傘を借りて見てまわった。監獄の歴史を集めた資料館や、懲役者を働かせて開墾を行ったときの寝とまり用掘ったて小屋、教会、独房などさまざまな施設がある。牢獄を再現した建物には、脱獄囚服役中の囚人が人形でリアルに再現されているし、浴場に置かれた人形には入れ墨までほどこされている。子供向けとはいえない施設だが、大人には興味をひく展示がいっぱいで、ここでずいぶんと時間をとってしまった。

網走市内ではもう一ヵ所、オホーツク流氷館に行く。オホーツクの流氷の映像、網走の自然の紹介があるが、メインはホンモノの流氷を触って体験できる、氷点下20度の部屋。オホーツク海の流氷を室内に置いてあり、自由に触って体験できる。室内の湿度を低くしてあるので、手で触っても流氷に貼りつくこともないそうだ。他にも凍ったバナナが置いてあって、これで釘を打ったりすることも出来る。あと面白かったのがタオル。入り口で湿ったタオルを渡されて、これの端をつまんでグルグルと振りまわせ、と言う。タオルが凍って、棒のようにピンと立つ。どうってことないといえばそうなんだが、自分で何かをするというのが、ちょっと楽しい。結露を心配してビデオカメラを持ちこまなかったのが残念だ。写真でも悪くはないが、こういうのはやはりビデオの方が後で見たときに面白い。

明日は最終日、ホテルの売店で近所へのお土産を買って、他の荷物といっしょに宅急便で送る手配をする。着日は8/27になるとのことで、けっこう時間がかかる。札幌あたりだともっと早く着くのだろうか。宮古島から送ったときでも翌日には大阪に着いていたのに、道東と大阪は意外と遠いものらしい。

2002/8/25(日)
行った所:屈斜路湖、観光船、砂湯、和琴半島自然探索路、釧路湿原丹頂鶴自然公園、釧路空港

道東旅行も今日が最後。あいかわらず天気はいまひとつだが、傘はささずにすみそうな空模様。今日は何ヶ所かの観光ポイントを回って釧路空港に行く。ここ三日間は屈斜路湖のすぐ近くの宿に泊まっていたわけだが、最終日になって、ようやく屈斜路湖の砂湯とか観光船に行く。屈斜路湖ではネッシーならぬクッシーが目撃されたという話もあるが、どうなんだろう。元祖クッシーとかいうハリボテも置いてあるが、最近はうわさも聞かない。屈斜路湖の湖畔は砂地になっていて、ここを掘ると湯が湧いてきて、「砂湯」という看板が立っている。砂湯の横には、無料で飲める温泉もある。さすがに砂を掘って温泉に入る人こそいないが、用意の良い人は子供達に水着を着せて遊ばせている。温泉が湧くとはいえ、まぁこの季節に水遊びはちょと遠慮したいかな。

砂湯の次は、屈斜路湖の観光船に乗りに行く。観光シーズンからちょっと外れているせいか、他には乗客がいない。ある程度の人数が集まらないと船を出さないそうなので、我々以外の客が来るのを待つ。15分ぐらい待ったところで、もう一組の客があり、いっしょに船に乗って屈斜路湖にすべり出た。船は40人ぐらい乗れる大きさ。外に出られれば湖上で風をあびて気持ちが良いのだろうが、デッキスペースはほとんどなく、船内に座って湖を眺める。観光船といっても、案内のおね〜さんが居るわけでもなく、録音テープが時おり思いだしたように説明をするばかりで、あとはひたすら湖上を走るばかりだ。30分ぐらいのコースなんだが、子供達は10分少々で飽きてしまった。

観光船の後は、屈斜路湖を南に回って、湖に突き出た和琴半島の自然探勝路に行く。一周2.4キロの半島を一周するコース。途中に階段のアップダウンがあり1時間ぐらいの路程だ。探勝路の入り口や途中にも無料の露天風呂があるが、道端の露天にはいるのはちょっと度胸がいる。大阪では珍しくもないが、このあたりはミンミンゼミの北限の地だそうで、ミ〜ンミ〜ンとうるさい鳴き声も、ここでは貴重な声らしい。半島の先っぽのところには屈斜路湖の湖中に湧き出る温泉・オヤコツ地獄がある。ここが探索路の半分ぐらいのところで、展望台があって休憩所になっている。湖中の温泉は切り立った崖の下にあるので、水上からボートやジェットスキーなどで近づくしかないのだが、もうもうと湯気が上がるなかで、水上スキーをする人がいた。ちょっとおやつを食べてひと休みしてから、探勝ロ入り口まで戻る。車に戻る頃には雨も降り出して、あとは昼食どころを探しながら、空港に向かう。

天気はどんどん下り坂で、空が暗くなってくる。昼食を取るところを探しながら走ってきて、釧路摩周観光センターというところを見かけて、ここで昼食にする。日曜日とあって、何もイベントはやっていないが、ずいぶんと立派な施設だ。喫茶で炒飯や焼きソバを注文したのだが、けっこう胡椒が効いていて、ピリっと辛い味付け。子供にはちょいと辛すぎるかな。食後の移動するころには土砂降り。雨から逃れるように釧路方面へ走っていく。空港への途中には釧路湿原を通る。地図を見ていると道の両側が湿原なんだが、走っているとただの森林と草っぱらとしか思えない。途中の展望台で湿原を遠く眺めたあと、湿原の遊歩道を歩く。熊出没注意の看板があり、子供達は熊よけと称して歌を歌いながら行くのだが、「あるぅ〜日、森の中、熊さんにぃ、出会ったぁ♪」って、出会っちゃいけないんだがなぁ。ここも2キロちょっとの遊歩道で、1時間程度の散歩を楽しむのには持ってこいなんだが、あまりのんびりしていても飛行機の時間に間に合わなくなるので、途中まで行ったところで引き返す。けっこう階段での上り下りが多く、あと季節のせいか蚊が多くて閉口した。道自体は周りが笹と、広葉樹とに囲まれてい、空気も気持ちよいし、こういう道が近くにあれば、休日の朝のウォーキングコースにもってこいだ。

釧路市内に入ってくると、さすがに交通量も多いし道も広い。が、大阪と比べて思うのは町並みが低いこと。狭い地面の中に、空に向かって縦に長くビルを建てなくてもよいのはうらやましい。空港のそばに丹頂鶴自然公園というのがあるので、ちょっと寄ってみたが、まだ丹頂鶴のシーズンでもないし、飛行機の時間まであまり余裕もないので、駐車スペースを通り過ぎただけにした。後で、ガイドブックでよく読んでみると、シーズン外でも園内に丹頂鶴を飼っていて、これを見られるらしい。そんなことなら入ってみるんだったと後悔する。あとは、レンタカーにガソリンを給油して空港に向かうだけ。

空港内では、出発までのあいだに土産物屋を物色、アイスクリームなどを食べて過ごす。荷物は宅急便で送ってあるので、身軽だ。帰りのフライトは、JAS738便。機体も座席も行きと同じでMD90、座席も9番と10番のAB席に座った。18:06にテイクオフ。窓からは襟裳岬がよく見えた。水平飛行に移ってからの飛行高度は、9400m。時速800kmぐらいで飛ぶ。沈む夕日に赤く染まった雲海がきれい。行きとほとんど同じ飛行ルートなのだが、関空に直行するのではなく、島根から岡山、小豆島の上空を回って関空に着陸する。往路より100kmぐらい距離が長いので、飛行時間も20分ぐらいよけいにかかる。関空についたのが20:00、降りてからJRに乗って最寄駅までたどり着くと、22:00を過ぎていた。夕食も食べていないので、駅前のホカ弁屋で弁当を買って帰り、ずいぶん遅めの夕食になった。


あまり移動が多いと疲れがたまると思って、今回の旅行では川湯温泉を拠点にして道東を回ったのが、もともと各観光ポイントを周るには車で長距離を移動しなければならないので、宿を一ヵ所に固定する必要はあまりなかった。川湯温泉の後は、知床方面で一泊、網走方面で一泊というパターンでも、目先が変わって良かったかもしれない。ともあれ、我が家にとっての今年最大のイベントは終わり。また休みを調整して、今度はどこに行こうか。

(2002/10/19更新)

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