まずは、焦がした樽の起源についてです。
起源その1.「悪徳樽職人説」
貯蔵用樽の職人が、間違って樽を焦がしてしまった。本来売物にならないはずの樽を、けしからんことにこの男、知らん顔で売ってしまったそうな。ところが、この不良樽に気づかずバーボンを貯蔵した人が、2,3年後にあけてみるとみごとな「レッド・リカー」ができあがっていた。しかも、焦げた木の味と香りが実によろしい。以後、わざわざ焦がした樽を使うようになった。
起源その2.「魚貯蔵樽説」
魚の貯蔵用に使っていた樽をバーボンの貯蔵用に使ったために、樽が魚くさくってたまらない。この臭いを消すために、樽の内側を焼いたのが始りという説です。
いずれにしても、始めから赤い色を狙って焦がしたのではなく、結果的に色が付いてしまったというのがはじまりだそうですな・・・。
樽の焦がしぐあいには「ライト」「ミディアム」「ディープ」の三段階があり、焦がすほどにバーボンの色合も深まります。樽の原料のホワイト・オークは、昔はウエスト・テネシーの川沿いのものがよく使われていたそうで、ディスティラリーによっては、自社用のホワイト・オークの林を持ってるところもあるようです。
秋から冬にかけて、直径16インチ(約40センチ)以上で、木目の真っ直ぐなもの(いわゆる、柾目ですな)だけを選び、立てに割ってカンナをかけてから冬じゅう乾燥させて、春に枠をはめて樽に仕上げます。
樽の材料のオーク材は、充分に乾燥させたほうが良いそうで、プレミアム・バーボンになると、2〜3年自然乾燥させたオーク材を使うケースもあります。また、柾目のオーク材を使う理由は、バーボンに樽の香りと色がしっかり付くようにするためです。
ケンタッキーにある三つの樽工場のひとつインディペンデント・ステイブ社では、板厚1インチの板を26〜27枚組合せて作るそうです。一回一分間、5回に分けてこんがりと焦がします。一日240個の樽が火の洗礼を受けています。
なお、樽職人にはなぜかクーパーさんという姓が多く、樽工場のことをクーパリッジと呼ぶのもそのせいだというオハナシもあります。
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